口下手だけれど講演を引き受ける僕と「ローカルジャーナリストガイド」【関口威人の「フリー日和 (⌒∇⌒)□」その27】

なメ研代表理事/ジャーナリストの関口がフリー稼業18年の悪戦苦闘を記す連載、今回はもっとも苦手だけれど毎年お声をかけてもらえる講演について。
nameken 2026.10.24
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 10月20日の午後、僕は名古屋市北区にある愛知学院大学名城公園キャンパスにいました。学生さんたちに、授業ではないのですが、簡単なレクチャーをするために。テーマは「取材・執筆の基本」でした。 

愛知学院大学名城公園キャンパスで学生にレクチャーする筆者=同大社会連携センターの教員撮影

愛知学院大学名城公園キャンパスで学生にレクチャーする筆者=同大社会連携センターの教員撮影

 このキャンパスがある名城・柳原地区には昨年からまちづくりのイベントで少し関わり始め、同じ地区にある名古屋造形大学を含めて学生や先生方ともつながりができました。

 今回、そのイベントとは違う形で、両大学の学生たちが地域のマップづくりを名古屋市から頼まれ、商店主らにインタビューをすることになったため、担当の教員が僕に「取材や執筆の基本についてレクチャーをしてほしい」と声を掛けてくれたのです。

地域活動をする学生向けに

 学生さんは5人という少人数。メディアやジャーナリズムを勉強しているわけでもないというので、とにかく基本のキから伝えなければならない。そんな依頼にうってつけの素材が、ちょうど手元にありました。それが『ローカルジャーナリストガイド』という本です。

日本ジャーナリスト教育センター発行の『ローカルジャーナリストガイド<改訂版>』

日本ジャーナリスト教育センター発行の『ローカルジャーナリストガイド<改訂版>』

 「地域で暮らし、地域を記録・発信する人のための教科書」というサブタイトルが付いたその本は、日本ジャーナリスト教育センターが発行。代表運営委員で法政大学教授の藤代裕之さんと、島根県でローカルジャーナリストとして活動する運営委員の田中輝美さんらが中心となって2018年に初版を出されました。

 田中さんにはコロナ禍のときに縁ができ、なメ研でも2022年1月にオンラインでガイドについて話していただいたことがあります。

 それから3年後の昨年、ガイドの「改訂版」ができたということで、ちょうど田中さんが名古屋に来られるタイミングでお会いして、新品の本を手に取らせてもらいました。

 もともと新人ライターやジャーナリスト志望者向けに書かれた本ですが、初版発行後は大学や地域活動で活用されることも多く、改訂版ではそうした活用を前提に、内容はよりやさしく、イラストなども豊富にしたそうです。

身だしなみから心構えまで

 そもそも「ジャーナリスト」などというと、昨今は恐くて厄介な人みたいなイメージがあるでしょう。

 それはそれで否定はしないというか、別に資格があるわけでもないし、いろんな人がいるのがジャーナリスト。名乗りたければ誰でも今日からジャーナリストです。

 そこに「ローカル」が付くと、特に地域のために記録・発信する人となって、もう少しやわらかく、とっつきやすいイメージにはなるのかなと思います。

 だからこのガイドでも、「新聞やテレビ、雑誌といったメディアで働く人たち、フリーランスのライターや編集者やデザイナー、学生など立場を問わず、地域を記録・発信していれば、みんなローカルジャーナリストです」と定義しています。ただし、大事なのは「地域に根ざし、信頼されながら活動する」こと。そのために必要な心構えから身だしなみ、遅刻しないためのチェック表までが丁寧に盛り込まれているのがこのガイドなのです。

 実際にガイドの内容を基にパワポや資料を作って話をしてみると、確かに学生には教えやすい。なんとなく「こういうのが基本なんだよな」と思っていたことが、ちゃんと言語化されているので、自分の経験も織り交ぜながら話すことができました。

 質疑応答を含めて90分間のレクチャーでしたが、学生は(机の距離が近いこともあってか)居眠りなどはせず、熱心に聞いて「すごく分かりやすかったです」と感想を言ってくれました。担当教員も「まさにこういうことから話してもらいたかったんですよ」。今回のマップづくり以外にも使えそうだと、さっそく個人で1冊注文してくれたほどです。僕も非常に手応えを感じられました。

 このガイドを使って今後は、能登で学生やライター志望者向けに連続講座を開く計画があります。詳細はまた追って告知させてもらいますが、6回ほどのオンライン講座の後、実際に能登の現地で取材を実践するOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)もある予定。講師は、僕以外に5人のライターや編集者が担当することになりそうです。

口下手なりに工夫していること

 僕自身は大変な口下手なので正直、講演や講義をするのは苦手です。

 でも、ジャーナリストとして独立する以上はそんなことも言ってられないと、話をいただければ、ほぼ必ず引き受けてきました。おかげさまで、独立2年目の2009年に初めてNPOのつながりから小さな講演会に招かれて以来、なんだかんだ毎年、大小の講演やシンポジウムなどの話をいただいています。

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