関口威人のDoローカルニュース解説・番外編 「IGアリーナ」ってDoんなモノ?
大量に情報が流通するネット社会の中で、埋もれがちなローカル情報の数々。それらを地元ジャーナリストの視点で掘り起こし、責任を持って詳しく、分かりやすくまとめて解説します…と謳ってきたDoローカルニュース解説。前回は豊橋市の新アリーナ問題について取り上げましたが、その後に住民投票が決まるまでの経緯を東洋経済で記事化するなど、取材を続けています。
その豊橋アリーナとも関係する名古屋市の「IGアリーナ」は、5月31日と6月1日にプレオープンイベントが行われ、初めて一般市民に公開されました。
僕も初日の5月31日に屋内外をしっかり見てきましたので、“元建築学生”として感じたことを、今回はあまり肩肘張らずにありのままお伝えしようと思います。
目 次
・イベント終了後の驚くべき誘導
・「割り箸?」を間近で見ると……
・内部は最新アリーナのお手本か
・高さ制限の特例が認められた意味
大階段はやっぱり「キツイ」
IGアリーナは、名古屋城の二の丸内にある愛知県体育館の移転新築という位置付けの建物です。名古屋城に隣接する名城公園の野球場があった場所で、同体育館からは700mほど北。建て替えに伴って規模は倍以上になり、最新の音響設備を備えることで大物アーティストのコンサートなどにも対応できるようになりました。
ただし、そもそもそんなに大きく派手な建築がこの場所にふさわしいのか、そしてどうもバリアフリーに問題がありそうだということを僕は3年前から指摘してきました。
その問題の象徴である大階段を、ようやく実際に上り下りして確かめることができました。

名古屋市北区の名城公園に完成したIGアリーナでは5月31日と6月1日を「IGアリーナオープニングDAYs」として一般市民向けのイベントが開かれた=5月31日、筆者撮影
一歩一歩、足を踏みしめながら上ってみて感じたのは、やっぱり「キツイなあ」という感覚でした。
ゆっくり上れば、息が上がるほどではありません。ただ、高さ7.4メートル、49段の階段は「踊り場」がほとんどないので、ひたすら単調に上るだけ。途中で座って飲み食いするような雰囲気ではありません。(たぶん警備員に追い払われる)
ちなみに3年前の着工直前までの設計では、端から端まで本当にただの階段でした。それが障害者団体の批判を受けて、左にスロープが付き、右にエスカレーターが付き、植栽の面積が広がり、真ん中に“島”みたいな緑ができる設計には変わりました。
しかし、大階段そのものの存在は変わりません。なぜこれがなくせなかったかというと、階段の下に「VIP用エントランス」を設けてしまったからです。