永谷正樹の「俺の写真をパクるな!」その4・公式写真のパクリに店は喜び、カメラマンは泣く
インスタ動画に俺が撮影した写真が……
クソッ!またやられたーっ! 数日前、インスタに流れてきた動画をボーッと眺めていたら、私が撮影した写真が映ったのである。動画にまで無断で使われているとは! 思わず、目を疑った。
webメディアのアクセス数が増えたり、SNSでバズったりするのは、個人店よりもチェーン店を扱ったもの。きっと、見る側にとっても身近な存在だからだろう。愛知県であれば『スガキヤ』や『ラーメン福』『コメダ珈琲店』『コンパル』などのローカルチェーンがよく採り上げられている。
問題の動画は、愛知県を中心とするラーメンチェーン『うま屋ラーメン』のチャーハンを紹介したものだった。見たところ、投稿者は20代。出で立ちもシュッとしていることからフォロワー数もかなり多い。いわゆるインフルエンサーというヤツだ。
しかし、言っちゃぁ悪いが、動画の内容は大ヒットしたドラマ『孤独のグルメ』の焼き直し。ありがちというか、これまでさんざん使い古されたネタだ。それでもある程度の再生回数を稼ぐのが私にはさっぱりわからない。
投稿者が店へ入るところからはじまり、卓上のタブレット端末で注文するシーンに数秒間、チャーハンの写真がインサートされる。動画を一時停止して何度も確認したが、やはり私がwebメディアで撮影した1枚だった。
上は私が店側に取材して撮影し、グルメサイトや自分のブログに掲載した『うま屋』のチャーハン。下はまったく同じ画像を勝手に取り込んだインスタの動画(※画像周辺はボカしています)
パクったのは自称「愛知岐阜グルメライター」
すぐに動画にコメントを入れた。DMでも私の連絡先と写真をパクった元となるwebメディアの記事のURLを記して抗議すると、2時間後に返信がきた。その内容は目を疑うものだった。
「『うま屋 チャーハン』と画像検索して、いちばん最初に出てきたので、うま屋の公式写真だと思って誤って使用した」とのこと。
…………。いやいやいやいや、公式写真だったとしても、それ、著作権侵害だから! コイツはその程度の認識で動画を撮って公開しているのである。浅い。浅すぎる。いったい、どんな人間なんだろうと思い、コイツのハンドルネームを検索すると、別の動画で「愛知岐阜グルメライター」を名乗っていることがわかり、これまた脱力した。
翌日、私は公式の写真であっても著作権侵害にあたること、私がその1枚を撮るために途方もない時間と莫大なお金がかかっていること、そして、
「◯◯さんがどんな人物で何を生業としているのかは存じ上げませんが、趣味であれ、商用であれ、モノ(動画)をつくってらっしゃるのであれば、素材がなければ撮る。それで済む話ではありませんか。仮に商用で動画を制作してらっしゃるのであれば、私と同じプロなのですから。
◯◯さんのコンプライアンスに対する甘すぎる認識から正直、『お詫び申し上げます。該当の画像を削除しました』といわれても、私が写真を生業としている以上、とても承諾することはできません。無断使用のペナルティも含めて、使用料を請求させていただきます」と書いて返信した。
尻尾を巻いて逃げたザコ
お詫びメールには、「明日の15時頃に電話でもお詫びする」と書かれていたので、そこで思いの丈をぶつけてやろうと意気込んでいた。ところが、15時になってもスマホの着信音がなることはなかった。