永谷正樹の「俺の写真をパクるな!」その23・無断使用から5年4カ月。写真泥棒との戦いに、ようやくケリをつけた!

フードカメラマン兼ライター(株式会社つむぐ代表)の筆者と “写真泥棒” との戦い。ついに終結 !?
nameken 2026.04.25
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 第2回の裁判は3月23日(月)。相手方弁護士から準備書面がFAXで送られてきたのが3月19日(木)のこと。20日(金・祝)から22日(日)まで三連休ゆえに、反論を準備書面にまとめて送ったとしても間に合わない。

 裁判当日にその場で反論することもできるが、私は法律の専門家でもなく、弁護士も雇っていない。感情任せに反論しても墓穴を掘る結果になりかねない。

 そこで私は反論を準備書面にまとめて、裁判当日に持参することにした。

準備書面の攻防と、相手方の矛盾

 相手方はこの期に及んでも「著作権は譲渡されている」と主張している。これを切り崩そうと、前回は保有するRAWデータを証拠として提出したが、相手方はこの事実をスルー。

 それと、私がクライアントから6万円の撮影料を受け取っていることを根拠に、賠償金は6万円に下らないことも主張している。

 これは大きな間違いである。なぜなら、撮影料6万円というのは、クライアントが写真を独占的に使用することができる権利も含まれるわけで、著作権者である私に許可なく勝手に使用した者に同じ金額で使用を許諾するわけがない。

 と、準備書面を作成する中で面白いことに気がついた。

 相手方は「著作権は譲渡された」と主張する一方で、

「仮に本件写真の著作権譲渡がなかったとしても、契約書を作成しておらず細かい契約条件を定めていなかったのだから、原告は訴外◯◯◯に対し、一時金6万円のみを対価とする本件写真の包括的な利用許諾をしていたと考えられる」と主張しているのだ。

 分かりにくいかもしれないが、著作権譲渡があれば利用許諾は不要なのである。にもかかわらず、「著作権譲渡あり」と「包括的利用許諾あり」の両方を前提に論を展開しているのである。これは法律構成上両立しない。

 これも思いっきり準備書面に書いてやった。

 さらに相手方の準備書面の文章の端々から、「私のクライアントにはきちんと謝罪をして、すでに解決済みである」的なニュアンスが見え隠れする。

 残念ながら、それ、まったく逆だから。クライアントも裁判を注視していて、

「仮に写真の著作権がウチに帰属すると裁判で判断されたら、相手方を著作権侵害で訴えます」とまで言っているのだ。

 もちろん、これも「証言」として準備書面に盛り込んだ。

 さらに、私の名前が載っている署名記事のコピーやwebメディアの著者プロフィールのページのスクリーンショットも証拠として提出することにした。

 私がカメラマン兼ライターとして、商業的著作権管理を行っていることを裁判所に示すとともに、相手方による無断使用が損害発生につながることを明確に示すためだ。

 準備書面の内容はどんどん膨れ上がり、結局、作成は丸1日がかりになってしまった。まぁ、やれるだけのことはやったので、これで安心して裁判に臨むことができる。

和解交渉と裁判のリアルな落としどころ

 そして、第2回の裁判当日を迎えた。

 相手方が準備書面を提出したのは、裁判の4日前。私は裁判当日。これでは裁判官が審理する時間がない。とうことで、私が提出した準備書面の反論は4月9日(木)までに送られてくることになり、第3回の裁判が4月20日(月)に決まった。

第2回目の裁判を終えた直後、傍聴に来てくださった友人の福田ちづるさんに撮影してもらった1枚

第2回目の裁判を終えた直後、傍聴に来てくださった友人の福田ちづるさんに撮影してもらった1枚

 その上で裁判官から和解の打診があり、まず相手方から考えを聞くために、私は一旦法廷の外へ出された。何分か経ったところで書記官から呼ばれて法廷へ入った。

 「相手方は写真を無断使用した1件あたり撮影料の6万円、3件分の18万円で和解したいと考えていますが、そこに少しプラスした20万円で和解できないでしょうか」と裁判官。

 準備書面に書いた通り、撮影料は賠償金の算定方法にはならないことを伝えたが、撮影料としてクライアントから受け取っていることが明らかなので、裁判所としてはそれをベースに考えざるを得ないらしい。さらに

「20万円が40万円、50万円になることはないですし、仮に判決が出るまで争ったとしても、賠償金はそのままか、むしろ、低くなることも考えられます」と付け加えた。

 私はその場ではイエスともノーとも言わずに裁判所を後にした。

 3月末だったか4月に入ってすぐか忘れてしまったが、裁判所から

「4月9日に相手方から準備書面を提出することになっていたと思いますが、『反論しない』との返事をいただきました」と連絡があった。

 写真の著作権の帰属先は私であることや、ふるさと納税サイトにおいても無断使用していたことを認めたのかというと、そうではないらしい。単に「争わない」ということで、争点をグレーゾーンにしたいのだろう。

 おそらく、弁護士費用などの負担を考えて、長引くことを避けたいという判断なのだろう。であれば、無断使用が発覚した時点で適切な対応をしてほしかった。まぁ、それができず、「たかが写真くらいで」とナメていたから泥沼化したのだろうけど。

 いや、撮影料6万円 ✕ 無断使用3件の計18万円が解決金の算出ベースとなったことで「勝った」と思ったのかもしれない。腹立つわー。

 裁判官の口から20万円という具体的な金額が出てきたことで、すでにこの裁判の落としどころが見えていると感じた。何とかそれを打ち崩すことができないかと、ない知恵を絞って考えに考えた。

 そこで頭に浮かんだのは、1年前に行った居酒屋運営会社との裁判である。居酒屋運営会社は、3つのグルメ情報サイトに私の写真1枚を無断使用していた。請求した46万2000円の賠償金に対して、解決金は30万円だった。

 裁判で係争中の相手方は居酒屋運営会社と同じ、3つのメディアで写真を2枚無断使用している。そのうち1枚は無断でトリミング加工もしている。それで解決金は20万円。これでは納得できるはずがない。私は居酒屋運営会社との和解の条件が書かれた口頭弁論書を証拠として提出することにした。

裁判の終わりと、平和とは何かという答え

 4月20日、第3回の裁判を迎えた。

 裁判官からは居酒屋運営会社との解決金と同額の30万円を提示された。が、2枚の写真を無断使用していることと、著作権侵害よりも罪としては重い著作者人格権も犯していることを主張して、30万円台であれば検討すると伝えた。

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