永谷正樹の「モヤモヤするでいかんわ!」その4・「またオレの写真がパクられた?」と思ったら、話は意外な方向へ

先日、大手出版社が運営するwebメディアの記事を読んでいて、思わず手が止まった。記事に掲載されていたのは、「オリエンタル即席カレー」の写真。真俯瞰から赤と黄のパッケージを撮った、ごくシンプルな商品写真なのだが、パッケージのシワの入り方、光の反射、影の出方、商品の形……。どう見ても見覚えがある。これ、俺が撮った写真じゃないか?そう思って調べてみると、やはり自分が撮影した写真だった。
2016年9月14日に、リクルートのwebメディア「メシ通」に掲載された「これぞTHE日本のカレー! 味もパッケージも懐かしい『オリエンタルカレー』を知ってるか【名古屋】」という記事。そのときに撮影した写真が使われていたのである。もちろん、今回の記事で写真を使う許可を出した覚えはない。またか……。私がそう思ったのも無理はない。
実は以前にも、Xで「開封していない、あるいは開封した商品を真上から撮っただけの写真なら、著作権はないのではないか」という趣旨の投稿を見かけたことがある。つい先日まで私が争っていた写真の無断使用をめぐる裁判でも、相手方の代理人から「味噌煮込みうどんを撮っただけの写真に著作物性はない」という趣旨の主張をされた。「料理を撮っただけ」「商品を撮っただけ」と言ってしまえば、それまでなのかもしれない。でも、それを言い出したら、世の中の写真の大半が「撮っただけ」になってしまう。
料理をどう見せるのか。どの角度から撮るのか。光をどう当てるのか。背景をどうするのか。何を入れて、何を入れないのか。プロの撮影では、そうしたことを一つひとつ考えながらシャッターを切っている。今回の写真だって、オリエンタル即席カレーのパッケージを机の上に置いてシャッターを押しただけ、というわけではない。だからこそ、俺の写真じゃないか?と気づいたときには、当然ながらモヤモヤした。
これ、俺の写真じゃないか?
そこで、記事を書いたライターに連絡した。「この写真は私が撮影したものですが、使用許可を出した覚えがありません」と伝えたところ、返ってきたのは、こちらが予想していたものとは少し違う返事だった。

これが問題の写真。照明機材で明るさが均一になるように撮影している。多くの人はカメラマンのそういった手間や技術を知らない
ライターによれば、写真のデータは現在、手元に残っていないという。オリエンタルに写真の提供を依頼したメールは残っているとのことだった。そのライターは現在、そのwebメディアを離れているため、編集部などに確認するには少し時間がかかるという。そして、「著作権を軽く考えているわけではない」ということも書かれていた。
その返事を読んで、少し冷静になった。少なくとも、このライターが私が撮影した写真だと知っていて勝手に使ったという話ではなさそうだ。では、なぜオリエンタルから写真が提供されたのか。そこが気になった。そこで私は、以前から取材などでお世話になっているオリエンタルの担当者に連絡した。
オリエンタルとは、私がフリーランスになった頃からの付き合いである。もう30年ほどになるだろうか。これまでにも何度も取材をさせてもらっている。担当者に事情を説明すると、社内で確認してくれた。そして、しばらくして返ってきた答えは、やはりその写真は私が撮影したもので、大手出版社のwebメディアに記事を書いたライターに、その写真を提供したことも確認できたという。やっぱり、そうだったのか。ここまでは予想どおりだった。問題は、なぜオリエンタルが、その写真を提供できる状態になっていたのか、ということである。