私は何のために取材をして、文章を書き、写真を撮っているのか・永谷正樹の「俺の写真をパクるな!」その16

解決の糸口が見えない係争中の案件
某製麺会社による写真無断使用の案件は、なかなか解決への糸口が見えない。自社のECサイトと郵便局「ふるさと小包」での使用は認めているものの、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」に関しては頑として認めていないのだ。
弁護士から運営会社や行政に照会をかけてもらったが、極めて非協力的だった。ただ、運営会社は訴訟されるのを恐れているのか、行政に対して情報を開示するように働きかけているようで、運営会社の社長名で行政の担当部署ではなく、市長宛てに手紙を送ったらしい。
しかし、行政サイドからは連絡も何もない。業を煮やした弁護士が行政の秘書課に連絡したところ、「市長宛ての手紙は、市長が確認せずに担当部署に振り分けてしまうこともあります」と言われたという。ということは、またしても担当部署がもみ消していることも考えられる。弁護士は現在の状況を運営会社に報告し、このまま行政が誠意のある対応をしてくれなければ、運営会社に対する責任追及をせざるを得ない旨も伝えている。
それにしても、時間がかかりすぎている。これでダメなら、弁護士の手を借りずに私が製麺会社を相手に裁判を起こすしかないと思っている。
と、写真無断使用の報告は以上。まだ文字数が全然足らないので、最近私が思っていることを書いてみようと思う。
「バズらせ屋」を名乗るグルメ系インフルエンサー
名古屋を拠点に活動している「名古屋グルメ帝王」というグルメ系インフルエンサーがいる。SNSの総フォロワー数は57万人というからスゴイ。SNSに載せている彼のハンドルネームは、「名古屋グルメ帝王【バズらせ屋】仕掛け人」である。
私も株式会社つむぐを設立する前は屋号を「取材屋」としていたため、カッコ書きの【バズらせ屋】にとても興味を持った。これはバズらせることによって収入を得ているということなのだろう。
そもそも「バズる」とは、主にSNSなどのインターネット上で、ある投稿や情報が短時間で多くの人々に拡散され、爆発的な話題となる現象のことを指す。語源は英語の「buzz」で、「ハチの羽音」や「人々のざわめき」といった意味合いを持ち、多くの人が特定の話題に群がる様子を例えているという。

「名古屋グルメ帝王」氏のプロフィール(インスタグラムより)
インフルエンサーは飲食店やホテル、旅館に電話をして、バズらせることを条件に飲食代や宿泊代を無料にしてほしいと交渉するらしい。また、飲食店に「映える」メニューを開発して、それを自分のSNSに投稿することで収入を得ているインフルエンサーもいるようだ。
インフルエンサーのビジネスモデルが良いとか悪いとか言っているわけではない。いや、「バズらせ屋」というのは、実に上手い表現であると思っている。何千、何万の人の目に触れて、「いいね!」が沢山もらえて、さらに報酬まで得られれば、そりゃ楽しかろう。胃袋も、承認欲求も、フトコロも満たされるというわけだ。
私はライター、カメラマンとしてwebメディアに記事と写真を提供している。インフルエンサーと似ているといわれれば似ている。が、私自身はバズらせようと思って、仕事をしたことがない。
では、いったい何のために取材をして、文章を書き、写真を撮っているのか。