関口威人の Doローカルニュース解説 ①アジア大会ってDoなるの?
大量に情報が流通するネット社会の中で埋もれがちな、あるいはまったく取り上げられないローカル情報の数々。それらを地元ジャーナリストの視点で掘り起こし、責任を持って詳しく、分かりやすくまとめて解説します。
初回は3年後の愛知・名古屋開催が打ち出されながら、規模が縮小していく見通しの「アジア大会」について。本筋がはらむ問題のほか、いくつかのサイドストーリーにも枝分かれしている状況を整理します。
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目 次
・そもそも2026年のアジア大会って?
・選手村整備が取りやめになったのはなぜ?
サイドストーリー:建築家・山本理顕氏が怒ったわけ
・競技数、競技施設はどうなるの?
サイドストーリー:新体育館はオーバースペック?
・まとめ:誰のための大会か?
2026年に愛知・名古屋で開催されるアジア競技大会のロゴマークなどが描かれた横断幕(2023年3月27日、筆者撮影)
そもそも2026年のアジア大会って?
大会の正式名称は「アジア競技大会」。パラスポーツ大会と合わせて「アジア・アジアパラ競技大会」とも呼ばれます。
第二次世界大戦で引き裂かれたアジア諸国の絆を、スポーツを通じて取り戻すといった理念の下、1951年に第1回大会がインド・ニューデリーで開かれたのを皮切りに、アジア各地で4年に1度開催。
1958年の第3回が東京で、1994年の第12回が広島で開かれたのに続き、日本で3回目、通算第20回の大会が2026年9月から10月にかけて愛知・名古屋で開かれることになりました。
主催はアジア・オリンピック評議会(OCA)で、オリンピック憲章の下に組織されています。日本にとってアジア大会がオリンピックに次いで重要なスポーツイベントであるゆえんです。
招致にあたっては、2016年7月に愛知県と名古屋市が中心となって招致委員会が設立されましたが、県・市の費用負担をめぐってひと悶着あり、9月には名古屋市が立候補を取り下げる(県との共催を白紙に戻す)事態になりました。
結局、2週間後には元の鞘に収まるのですが、その経緯を僕は地元の月刊誌『東海財界』2016年10月号に書いていました。