永谷正樹の「俺の写真をパクるな!」その6・裁判のリアルと示談交渉のフェイク
写真を無断使用した居酒屋運営会社を相手に私、ナガヤが少額訴訟を起こした続報。
先月15日(火)、裁判所より「期日呼出状」なる書類がFAXで届いた。
今どき珍しく、わが家にはFAXがある。取材先へ校正を送るとき、ネットをしていない方も稀にいて、その場合はFAXで送ることがあるため必要なのだ。
裁判所から私宛てに届いた期日呼出状
弁護士からの連絡をなぜ無視したのか
まぁ、それはいいとして、「期日呼出状」には裁判が行われる日時と場所が書かれている。要するに、「この日に裁判を行うので必ず来なさい」という出頭命令のようなものだ。被告人である居酒屋運営会社の社長にも届いていることだろう。
原告である私は、期日までにやることといえば、証拠を揃えておくことくらい。すぐに弁護士に連絡をして、相手方へ送った内容証明郵便などの書類を用意してもらった。
一方、被告は、ただその日に裁判所へ来ればよいというわけではない。訴状に対しての「答弁書」をあらかじめ提出せねばならないのだ。まず、なぜ写真を無断使用したのかを説明する必要がある。おそらく、「フリー素材だと思った」という使い古された言い訳に終止するだろうが、それは通らない。判例もある。
今回、私がやむなく提訴せざるを得なかったのは、相手方が連絡を悉く無視したことが原因である。ゆえに、なぜ無視したのかをわかりやすく説明せねばならない。おそらく、無視をしたのは、ただ単に「ウザかった」からだろう。
駐禁やスピード違反などをしたにもかかわらず、罰金を支払わず、警察からの出頭命令も無視する人がいるが、それと同じ。むしろ、「無視するオレってスゴイ」みたいに思っているかもしれない。いやいや、スゴくも何ともないんだけど。無視し続けた結果、警察官が自宅にやってきて逮捕されることもあるのだから。国家権力に対して無視は通用しないのだ。
相手方は無視したことをどうやって正当化するのだろう?裁判において、「知らなかった」「見ていない」「聞いていない」は絶対に通用しない。配達記録もあるのだから。
この期に及んで無視は不可能
あまり考えたくはないが、「期日呼出状」を無視したり、適当な言い訳をして来なかったりする可能性もなくはない。裁判所のHP内にあるQ&Aに「期日にどうしても裁判所に出向けない場合はどうしたらいいの?」という質問があった。それに対する回答は以下の通り。
決められた期日に,病気などの理由で裁判所に来られない場合には,簡易裁判所の担当の裁判所書記官に御相談ください。やむを得ない場合には,期日を変更することもあります。その場合には,事情を証明する診断書などの書類を提出していただくことがあります。原則として,仕事の都合だけで期日を変更することはできませんから,御注意ください。
なお,被告が答弁書を提出せず,決められた最初の期日にも裁判所に来ないと,原告の言い分どおりの判決が出ることがありますので,御注意ください。
「仕事で忙しい」というのは来られない理由にならない。さらに、期日呼出状を無視した場合は、原告の言い分どおりの判決が出ることがあるということも。だから、来ないわけにはいかないのだ。
それにしても、相手方が答弁書に何を書くのかが気になる。文章を生業とする私でも、無視し続けたことを正当化する文章はとても書くことができない。相手方も手に負えず、弁護士に依頼するかもしれない。その場合、どんな弁解をするのだろうか。
「少しでも賠償金を減額してもらえるように、誠心誠意謝罪をしなさい」とでもアドバイスをするのか。私が求めているのは「なぜ無視したのか」の1点だけだから、今さら謝罪されても仕方がない。
私が居酒屋運営会社を相手に起こした裁判の詳細は以下の通り。