永谷正樹の「俺の写真をパクるな!」その12・動画を編集する中で知った写真泥棒の心理。でもそれ…犯罪だからな!

昨年7月、タレントの福田ちづるさんと一緒にYouTubeチャンネルを立ち上げた。彼女は古くからの友人で、お互いに「どうしているかな」と思った頃に電話をかけ合う仲である。とはいっても、会話の大半は人生に1ミリも影響を与えない、どうでもよいことばかり。逆にそれが楽しい。
以前から私たちは一緒にAMラジオの番組をやりたいと話していた。もちろん、パーソナリティは福田ちづる。私はというと、放送作家という立ち位置で。
「今日は作家のナガヤさんが一宮へ行っているようなので呼んでみたいと思います。中継のナガヤさーん!」
「はいはーい! 今、私は喫茶店のモーニングサービス発祥の地、一宮市に来ております」
そんなくだらないやりとりを電話で延々と続けるのである。バカでしょ(笑)? しかし、タレントとしてキャリアを積んできたちづるさんはともかく、無名である私にラジオからオファーが来るわけもなかった。そんな中、
「今はYouTubeやインスタライブを使って自分で発信することができるから、来るかどうかもわからないオファーを待つよりも私たちでやってみない? いつも電話で話しているバカ話をそのまま配信すればいいじゃん」とちづるさんからの提案でYouTubeを始めることになったのである。
めざすはAMラジオへの進出
ユーチューバーやインスタグラマーなどネットを発信の場にしているインフルエンサーたちはテレビや新聞、雑誌などのオールドメディアに対して否定的である。中には「オールドメディアは中国共産党のシンパに支配されている」などという根拠のない陰謀論を真顔で語るヤカラもいる。30年以上もメディアで仕事をしてきて中国共産党のシンパとやらに会ったこともないんですけど(笑)。
もともと私は雑誌、ちづるさんはテレビ、ラジオで仕事をしてきた。いわばオールドメディア側の人間である。それならばネットメディアであるYouTubeからオールドメディアへの進出、つまり、ラジオ出演をめざすことにして、私たちのYouTubeチャンネルも「めざせAMラジオ進出!福田ちづると永谷正樹のもーやっこしよみゃあ!」と名付けた。
「もーやっこ」とは名古屋弁で「半分こ」という意味。視聴者さんの嬉しいことも楽しいことも、ときには悲しいことも私たち2人とともに半分こしようという思いが込められている。何よりも、名古屋ローカルのAMラジオでありがちな番組名であろう。
ナガヤはカメラマンでもあるから、収録する機材にもこだわっていると思われるかもしれない。たしかに仕事で使っているカメラやレンズを使えば、クオリティの高い映像を制作することができる。しかし、実際に使用しているのはiPhone。
AMラジオと同様に家事や車の運転、事務作業、農作業をしながら「聴く」ことを心がけているためだ。私たちは固定したカメラの前でどうでもよいことを喋るだけ。カメラを回しっぱなしなので動画編集も最初と最後の部分をカットして、サムネイルを作るだけで済む。これなら大きく時間を割かれることもない。
食べるシーンのない食レポ動画
原点は電話でのバカ話なので(笑)、正直、チャンネル登録者数や視聴回数などは意識していない。YouTubeで動画配信をしている方からすれば、私たちはド底辺の意識低い系ユーチューバーであろう。しかし、収録そのものが楽しいのだ。その楽しさを1人でも2人でもよいから「もーやっこ」できればと思って続けている。
5月13日現在、配信した動画は43本。日曜日が終わって、今日から仕事や学校が始まるという週始めの月曜日に視聴を楽しんでもらえればと昨年7月から基本的に毎週月曜日の24時に公開している。

福田ちづるさんと私のYouTubeチャンネル『福田ちづると永谷正樹のもーやっこしよみゃあ!』のサムネイル画像
固定したカメラの前で好き放題に喋るスタイルは今も変わっていないが、最近になって番組で採り上げるテーマが固定化してきた。それも悪い意味ではなく、良い意味で。私の取材テーマがグルメであり、ちづるさんもグルメレポーターとして名を馳せたからだろうが、どうしても番組の内容がグルメ寄りになってしまうのだ。
とはいえ、本格的にグルメレポートをするとなると、店側にも許可を取らねばならないし、撮影現場に居合わせた客の顔にモザイクをかけねばならず、それが実に面倒くさい。そもそもAMラジオなのだから、喋りだけでその店の歴史やこだわり、メニューの美味しさ、店主の人となりなどを伝えたいという思いが私たちにはある。
そこで、実際に店へ向かう前に車の中でその店の話をして、それを前編として、食べ終わった後に感想などを語るのを後編として公開している。食レポ動画の場合、食べるシーンはマストであり、むしろそれがメインコンテンツである。が、私たちがめざしているのはAMラジオゆえに食べながらのレポートは必要ないと考えたのだ。
「店の公式HPから拝借しようか」
しかし、動画を編集しているうちに私自身の心境が変わってきた。店へ向かう前や食べた後に私たちが喋っているシーンに店の外観や料理の写真をカット・インさせた方がより伝わると思うようになったのだ。